久しぶりに夜更かししてしまった一冊です。
自衛隊の対テロ特殊部隊と、日本を占拠線とする外国テロ勢力との壮絶な戦いを描いた一作ですが、手に汗握る戦闘シーンよりも、その背景として描かれている、”政治”の稚拙さが、まさに現在の日本の防衛意識の希薄さをものの見事にあぶりだしている感じがして、そちらの方がそら恐ろしくなってきてしまいました。
物語は、特殊部隊のチーフが休暇で田舎に帰った時に遭遇した事件から幕をあけます。その時には、営繕係という裏方さんで、朴訥な地方の青年といった雰囲気で描かれていますが、時折見せる何気ない仕草に、「こいつ、ただものではないな」と思わせるのですが、いつこの人物が本来の姿を見せるのか、とても気になってしまい、一気に引き込まれてしまいました。そして気がつけば最後までページを捲っていました。
こんな程度の見識しか持たない人物が防衛のトップに座っているのか、と腹立たしい気持ちになってくることもあれば、逆に素晴らしい人格と見識を持った魅力的な上官も登場します。そして印象に残ったのは、「彼らの最後の盾となれるのは国民です。国民の『後ろ盾』があれば、彼らは立派に任務をやり遂げてくれるに違いありません」という上官の妻のセリフです。ちょうど、自衛隊トップの発表した論文が巷を賑わしていましたが、事に及べば自らを省みず、という使命は、まさにその後ろ盾があってこそ、なのだ、と思います。
あまりにも希薄な、そして政争の具とすることしか目につかない昨今の状況に、痛烈な警笛を鳴らす一作。
